無題

小さい頃から、自分と比べて周りを羨んだり妬んだりとかはなかった気がする

自分は最初から幸せじゃないこと、恵まれていないことがわかってたから

だからお父さんがいてお母さんがいて、兄弟姉妹みんな良い子で泥棒する兄弟なんていないのが、普通のお家の子なんだよな でも自分は違うんだ 変なうちの変な子 みんなとは違うってわかってたから、素敵な家族を持つ友達たちのことは、丘の上の別世界に住む人だと感じていた だから、羨む対象ではなかった

小3の時、母が再婚した人はせいそうじぎょうしょのうんこ車に乗っている人

私が小学生の頃には、みんなに配られるクラス名簿に、両親の名前と父親の勤め先まで明記されてて、母の夫になった人の職業は『清掃事業所』と書いてあり、それを見れば誰にでも、この父親はバキュームカーやゴミ収集車に乗る事を生業にしていることは、一目瞭然だった

いつしか、私もその事に気づいてから、新しくできた友達たちに知られたくなくて、下校中に作業車を見ると身体を硬くしていた

一度だけ、ばったり会ったことがある。その日はゴミ収集をしていた 目があったけど私は無視した

再婚した父親になった人には連れ子がいて、私は一度に兄弟が2人増えた

2人とも、兄弟姉妹になれたことは喜んでくれていたと思う

けど彼らは、私の母には懐かなかった

そこは彼ら兄弟達にとってもかわいそうな再婚だった せめて私の母がもう少しでも愛情表現ができていたらもう少し彼らも救われたのかもしれない どちらにしろこの再婚は遅かれ早かれ破綻するわけだが